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馳浩文部科学大臣 多様な教育機会確保法案「成立後に万全の体制で支援」
馳大臣は、大臣就任前に夜間中学とフリースクールにおける超党派の議員連盟を発足。座長として立法チームを立ち上げ、今国会で提出が見送られた「多様な教育機会確保法案」の成立に向け動いていました。文科大臣の立場となり、法制化に向けては「これまでは一国会議員として立法化に邁進してきたが、これからは待つ立場」としながらも、「成立後に万全の体制で支援をしていく」と強調。なお、自身が務めた議員連盟の座長職は、自民党内の議員に引き継がせたいと話しました。
法制化には、どの程度の人たちが必要としているのかといった立法事実と、(法案成立後に)実際の学習支援と一定の経済支援が必要となる、とポイントを説明。また、現在8都府県31校ある夜間学級が、各地域で実情に応じたカリキュラム編成等の取組みを行っていることを踏まえ、「いきなり法律でがっちり縛ることは現実的ではない。実情に応じた理念的なものにならざるを得ない」とし、そのために基本方針やガイドラインが示されていくことも示唆しました。
また、今後の夜間中学拡充については、「夜間中学の歴史、果たしてきた役割、各地域の実情にスポットライトを当てて欲しい」と国民への理解拡大を求めました。
さらに安倍新政権が掲げる「1億総活躍」についても触れ、「学びたい、社会に貢献したいという想いが、まさに1億総活躍社会の真の姿。義務教育段階の教育機会が確保される社会がそのひとつの基盤である」とし、その旨を今後内閣でも訴えていくと述べました。
集会が行われた埼玉県には、現在、公立の夜間中学が1校もなく、その役割をボランティアで運営される「川口自主夜間中学」が担っています。公立の夜間中学と同じように基礎学習や外国人への日本語学習が行われており、また不登校のまま中学の卒業資格を得た「形式卒業者」の学び直しの場としての役割も果たます。しかし、義務教育未修了者に対しては、公的機関でないため中学の卒業資格は与えられません。その後の進学やキャリアアップを考える人の多くは、在住・在勤が入学条件となる東京の公立夜間中学へ入学し、その数はこれまでに延べ1000人を超えます。「やめよう、東京に頼るのは」と題されたこの日の集会では、こうした負担や、未だ潜在的に残る県内の義務教育未修了者の教育を保障するために活動してきた関係者からの報告が行われました。
「埼玉に夜間中学を作る会」の野川義秋代表は、長年、県や市との交渉・要望を繰り返してきましたが、25年を過ぎた頃から「もう(夜間中学を)作れないのではないか」という焦りが芽生え始めたとのこと。しかし、その頃から「県内の市町村が応分の負担をし合って開設する“共同開設方式”」を導き出し、これが行政に対する「“要望”から“提案”への大きな転換となった」と話します。同時に「全国夜間中学校研究会」との協力を得ながら、国会議員への働きかけ等を続け、超党派の議員連盟も発足。これまでに20名近い国会議員、地方議員が視察へ訪れるなど、夜間中学を取り巻く状況が大きく変わり始めます。
しかし、一方で夜間中学の統廃合が進む地域があるのも事実。設置を訴えながらも、実際には学校数が減っているという現実を声高には言えません。野川さんは「“作りたい”と願う以上、減ってはならない。今後はこうした他の地域の状況も把握しながら取り組んでいきたい」と話しました。また、法制化へ向けた動きに関して、「とにかくあきらめない。ここまできたものを逃してはならない」と熱い想いを訴えました。
現在、公立の夜間中学は8都府県に31校あり、約1900名の生徒が在籍。一方、自主夜間中学へ通う人は、その4倍の約7400名(文部科学省実態調査)。しかし、それでも自主夜間中学等のある地域は154市区町村で全市区町村の9%に留まります。なお、公立夜間中学は東京から北には1校もなく、福島など東北地方から転居して入学してくるケースも少なくありません。北海道では4つの自主夜間中学が運営されていますが、土地が広大なため、半日以上かけて通学してくる人もいるとのこと。現在、日本国内における義務教育未修了者は推定で百数十万人以上(政府見解で約70万人)。
◆集会について◆
やめよう、東京に頼るのは!! 埼玉の夜間中学運動30周年集会
主催:「埼玉に夜間中学を作る会」「川口自主夜間中学」
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